«Sex Pistols» - 伝記、アルバム、曲、ビデオクリップ

セックス・ピストルズ (Sex Pistols) は、イングランド出身のパンク・ロックバンド。

1970年代後半にロンドンで勃興した、パンク/ニューウェーブ・ムーヴメントを代表するバンド。自国の王室・政府・大手企業などを攻撃した歌詞など、反体制派のスタイルが特徴。また、短命でありながらも、後世のミュージック・シーンやファッション界にも多大な影響を与えた。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第60位。

メンバー

  • ジョニー・ロットン(本名:ジョン・ライドン) Johnny Rotten - ボーカル (1975-78, 1996-2008)
  • スティーヴ・ジョーンズ Steve Jones - ギター、ベース(スタジオのみ) (1975-78, 1996-2008)
  • ポール・クック Paul Cook - ドラムス (1975-78, 1996-2008)
  • グレン・マトロック Glen Matlock - ベース (1975-77, 1996-2008)
  • シド・ヴィシャス Sid Vicious - 二代目ベース (1977-78) R.I.P.1979
        
  • 再結成後 (1996-2008)
        

来歴

1970年代半ばのロック・シーンは、ハードロックとプログレッシヴ・ロックが二大主流で、超絶技巧のギターテクニックや、初期の高価なシンセサイザーやスタジオ録音技術を駆使する「スーパー・バンド」とロックファンの間には溝が生まれつつあった。

当時、ロンドンのキングス・ロードで『SEX』というブティックを経営していたマルコム・マクラーレンは、店に出入りしていた不良少年のスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが結成したアマチュアバンドに目をつけた。それに積極的に介入し、当時『SEX』の店員だったグレン・マトロックと、オーディションで選んだジョニー・ロットンを加入させ、1976年11月にバンドの形を整えさせた。彼らは貸しスタジオで練習を重ね、セックス・ピストルズという名前でライブデビューした。

パンク・ロックの勃興
シンプルなロックンロール、反体制的な歌詞、斬新なファッション、メディアを意識したスキャンダルの濫発によりすぐに注目された。しかし保守層からは敵視され、演奏会場では中止運動が頻繁に起こった。
その後大手レーベルのEMIと契約し、シングル「アナーキー・イン・ザ・U.K./アイ・ワナ・ビー・ミー」をリリースするが、テレビで放送禁止用語を連発したことが問題となり契約を破棄された。結果としてバンドは巨額の違約金を手に入れた。
1977年にベーシストのグレン・マトロックが、ジョニー・ロットンとの不和などの理由で脱退。後継ベーシストとして、古くからロットンと親しかったシド・ヴィシャスが採用された。このシドの加入で、ピストルズはよりスター性のあるバンドとなった。しかし、作曲面における功績が大きかったグレンの脱退はバンドの将来に暗い影を落とすことになった。
EMIとの契約破棄後はA&Mレコードと契約したが、シングル「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン/分かってたまるか」の発売直前に破棄された。またしてもバンドは巨額の違約金を手に入れた。
最終的にヴァージン・レコードと契約し、エリザベス女王在位25周年祝典の日にテムズ川のボートでゲリラライヴを行い、英国国歌と同名の曲「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」を演奏し逮捕された。このプロモーションの成果は上々で、全英シングルチャートで最高2位(NMEチャートでは最高1位)を記録した。ただしジョニー・ロットンとポール・クックが右翼に襲われて重傷を負う事件が発生し、バンド活動はしばらく停滞した。
ニューウェーブの旗手〜解散
1977年10月唯一のオリジナル・ファースト・アルバム『勝手にしやがれ!!』を発売。このアルバムは、ロキシー・ミュージックやピンク・フロイド、ポール・マッカートニーなどを手掛けたクリス・トーマスによってプロデュースされた。マルコムはアルバムの販売権をヴァージンに独占させず、フランスの会社に1曲多い盤の製作を許可するなどの揺さぶりをかけた。米国では大手のワーナー・ブラザース・レコード、日本では当時ヴァージンと提携していた日本コロムビアから発売された。後の2012年にはバンドがユニバーサルミュージックと世界契約したため、各国のユニバーサルミュージックからの発売となった。
1978年ワーナーの企画により、初のアメリカツアーを決行。保守的なアメリカ南部からツアーを始めたが、そのツアー中にバンドは破滅へと向かう。
1978年1月14日アメリカツアーの最中(サンフランシスコ、ウインターランド公演後)に、ジョニー・ロットンがバンドを脱退。実質上 バンドの終焉となる。

解散後

ジョニー・ロットン脱退後、急遽アメリカツアーを中止。スティーヴ・ジョーンズとポール・クックは、イギリスの大列車強盗犯人ロナルド・ビッグズや偽物の元ナチスのマルチン・ボルマンとコラボレーションを行い、おふざけ半分でピストルズを延命させた。

マルコムは、嫌がるシド・ヴィシャスにフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」の替え歌をレコーディングさせ、レコード発売も行っている。その後シドはアメリカツアーを行い、宿泊していたホテルで恋人であったナンシー・スパンゲンを刺殺した容疑をかけられたまま、麻薬の大量摂取が原因で他界。結果的に「マイ・ウェイ」はシドの代表曲となった。

再結成

  • 1996年 - 「俺達には共通の目的ができた、それは金だ!」とうそぶき、オリジナル・メンバーにより再結成。6月よりワールド・ツアーを決行し、翌7月にはライヴ・アルバム『勝手に来やがれ』を発売。来日公演は、洋楽アーティストとしては異例の1か月間18公演を行っている。
  • 2002年 - 夏に2回目の再結成。イギリスとアメリカでの2公演を行う。
  • 2003年 - 夏にアメリカ・ツアーを行う。
  • 2006年 - ロックの殿堂入りを果たす。しかし2月24日の朝、以前からロックの殿堂を皮肉っていたジョニー・ロットンを筆頭に彼らは、自身の公式サイトに直筆メッセージを掲載。その内容は、「セックス・ピストルズを除けば、ロックンロールもその殿堂入りも小便のシミだ。お前らの美術館、ワインの中の小便。俺達は行かねえ。お前らの猿じゃねえ。だから、どうした」と冒頭から罵倒、また1人あたり2万5,000ドル(約250万円)もの参加費用に関しても論い、最後には「俺たちは行かねえよ。お前らも別に構わんだろ。このクソみてえな系図に組み込まれないのが、本当のセックス・ピストルズってもんだからさ」と締めくくった。これに対して主宰者は、怒るどころか、「彼らは非凡なパンク・スター。これこそがロックンロール」とさえコメントしている。ロックの殿堂入りを蹴ったアーティストは史上初である。
  • 2007年 - 11月に4回目の再結成を行い、ワールド・ツアーを展開。
  • 2008年 - サマーソニックに出演。

特徴

当時としては反動的でシンプルなギターコード、イギリス政府・イギリス王室・EMIのような体制や権威をこき下ろす歌詞、短い髪をツンツンに立てたり破れた服を安全ピンで留めるといった斬新なファッション、メディアでのインタビューで「shit」「fuck」「cunt」を連発するというスキャンダルにより注目された

歌詞

ボーカルのジョニー・ロットンは「アナーキー・イン・ザ・U.K.」で、「俺は反キリスト者でアナーキスト」と叫び、破壊思想を流布するとして当局から監視された。元MI5(英国機密情報局)部員が後に証言したところによると、MI5のテロリストやスパイの監視を行う部署に『1977年コンテンポラリーミュージック破壊活動分子』というタイトルの付いたファイル群があり、その膨大な書類はすべてピストルズに関するものだったという。しかし、ピストルズは左翼のみに支持されたわけではなく、「ボディーズ」はイギリスの保守ソングのランキング10位中にランクインしている。

ファッション

安全ピンや、髪をツンツンに立てるといったファッションは、元々リチャード・ヘル(テレヴィジョンやハートブレイカーズの創設メンバー)が行っていたものをマルコム・マクラーレンが採り入れたと言われているが、ジョン・ライドンの自伝ではピストルズ加入以前から短髪を緑色に染めたり、父親に買ってもらったスーツをカットして安全ピンでつなぐなどしていたと記述されている。

レコード契約

契約トラブル劇は、レーベルに所属するプログレッシブ・ロックのミュージシャンたちの強硬な反対も大きく影響していたといわれる。最終的に契約したヴァージンでも、所属していたマイク・オールドフィールドが最後まで契約に反対していたという。

ディスコグラフィー

シングル

  • アナーキー・イン・ザ・U.K./アイ・ワナ・ビー・ミー (Anarchy In the U.K. / I Wanna Be Me)
  • ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン/ディド・ユー・ノー・ロング (God Save the Queen / Did You No Wrong)
  • プリティ・ヴェイカント/ノー・ファン (Pretty Vacant / No Fun)
  • さらばベルリンの陽/サテライト (Holidays In the Sun / Satellite)

アルバム

スタジオ・アルバム
  • 勝手にしやがれ!! - Never Mind the Bollocks(1977年)
ライヴ・アルバム
  • Anarchy in the UK: Live at the 76 Club (1985年)
  • 勝手に来やがれ - Filthy Lucre Live(1996年)
  • Raw and Live (2004年)
  • ライヴ'76 Limited Edition, SHM-CD(2016年)
企画盤
  • Spunk (ブートレグ-1977年、オフィシャル-2006年) グレン・マトロック参加デモ音源
  • ザ・グレイト・ロックン・ロール・スウィンドル - The Great Rock'n'roll Swindle(1979年)
  • Some Product: Carri on Sex Pistols (1979年)
  • Flogging a Dead Horse (1980年)
  • KISS THIS~ベスト・オブ・セックス・ピストルズ Kiss This (1992年)
  • Jubilee (2002年)
  • Sex Pistols Box Set (2002年)
  • Agents of Anarchy (2008年)

映像作品

  • ノー・フューチャー(2000年、バンドのドキュメント)
  • クラシック・アルバムズ:勝手にしやがれ(2002年、レコーディングのドキュメント)
  • ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル(2003年、1980年公開の映画)
  • 勝手にやったぜ!!(2008年、ライブDVD)

来日公演

1996年

ツアー公演
  • 10月28日,29日,11月19日 CLUB CITTA'
  • 10月31日~11月2日,13日,14日、松下IMPビル
  • 11月4日,5日 日本武道館
  • 11月7日 福岡サンパレス
  • 11月9日~11日 CLUB DIAMOND HALL
  • 11月17日 長野県松本文化会館
  • 11月21日 北海道厚生年金会館
  • 11月23日 仙台サンプラザ

2008年

サマーソニック
  • 8月9日 幕張メッセ(千葉市)
  • 8月10日 舞洲サマーソニック大阪特設会場(大阪市)
単独公演
  • 8月12日 STUDIO COAST(江東区)

脚注

注釈

出典

参考文献

  • - All About 2007年9月27日

関連項目

  • パンク・ロック
  • THE BLUE HEARTS

日本のパンク・ロックバンド。ピストルズに影響を受けている。

外部リンク

  • (英語)